金刀比羅宮で感じた「挑戦」と「気づき」
みなさんこんにちは。
10月も下旬になり、外は肌寒く感じることが増えましたね。
さて今回は、今月訪れた香川県の金刀比羅宮での体験を通して感じたことをお話ししたいと思います。
実は今回、雅楽(ががく)の演奏者として「金刀比羅宮例大祭」に参加させていただきました。
初めての経験で、本当に貴重な時間となりました。
金刀比羅宮は「785段の長い階段」で知られています。
その山の上に鎮座する神様を、毎年10月10日・11日に行われる例大祭では、夜にお神輿(みこし)にお乗せして麓までお連れし、翌日に再び山上へとお帰りいただくという、神聖な儀式が行われます。
この行列には、山伏や神職の方々、そして私たちのように雅楽を奏でる楽人が加わります。
夜8時から深夜まで、提灯の明かりの中を歩きながら演奏する姿は、本当に幻想的です。
「歩きながら吹く」大きな挑戦と暗譜の壁
この例大祭に参加するにあたって、私には大きな課題がありました。
それは「歩きながら笛を吹く」ということ。
想像してみてください。暗い山道を、お神輿の列とともに、静かな夜の空気の中を歩きながら笛を吹くんです。
当然、譜面(楽譜)は見られません。つまり、すべてを暗譜(あんぷ)して演奏する必要があります。
雅楽では、まず「唱歌(しょうか)」と呼ばれる旋律を声に出して歌い、音の高さや強弱、リズムを体で覚えます。
その後、頭の中でその唱歌を思い浮かべながら笛を吹くんですね。
譜面はカタカナの羅列で、指の押さえ方も独特。
一見シンプルに見えて、実はとても奥深い世界なんです。
私は昨年の8月に龍笛を始めたばかりで、まだ1年と少し。
一方で、今回一緒に歩いた方々は、10年、20年、なかには30年以上演奏を続けている大ベテランばかり。
そんな方々と並んで歩きながら吹くなんて、普通には考えられないことでした。
正直、最初は「私にできるのかな」と不安もありました。
でも、「今の自分ができる最善を尽くそう」と心に決めて臨んだんです。
山を下りる間、夜風に揺れる提灯の灯りと、静寂の中に響く笛の音。
一歩一歩踏みしめながら吹くその時間は、言葉にできないほど神聖で、心が澄んでいくような感覚でした。
無意識を味方にするマインドセット
実は今回、新しく覚える曲が5曲もあったんですね。
笛の指の運び方、息の使い方、音のつながり方…すべてを暗譜しなければならず、最初は「これは無理かもしれない」と思ったほどでした。
練習の初期段階では、頭で覚えようとしてもなかなか記憶に残らず、「どうしてこんなに入らないんだろう」と焦る気持ちが強くなっていきました。
でも、当日実際に演奏してみると、不思議なことに「体が覚えている」んです。
曲の流れを指が自然に動かしてくれる感覚。これがまさに“無意識の力”なんですよね。
「無理」と思った瞬間に脳はシャットダウンします。
でも「できる」と信じて練習を重ねると、無意識が静かに覚えてくれている。
これこそ、私が伝えたい“マインドセット”の大切さなんです。
「覚えよう」とするより「覚えている」と信じる
無意識を活用すると、驚くほどスムーズに記憶が定着します。
NLP(神経言語プログラミング)のトレーナーコースで学んだ時にも、この「無意識の活用法」を体感しました。
人の意識と無意識の割合は、1:99とも言われています。
私たちが意識的に考えて行動していることなんて、ほんの1%にも満たないんです。
ということは、「意識」だけで何かを覚えようとするより、「無意識」に覚えてもらった方が圧倒的に効率が良いということ。
たとえば、車の運転を思い出してみてください。
免許を取りたての頃は、信号を見る、ブレーキを踏む、ウィンカーを出す…すべてを意識的にやっていたと思います。
でも今はどうでしょう?
自然に体が動いて、ほとんど考えずに運転できていますよね。
それと同じで、笛の演奏も「体が覚える」プロセスなんです。
繰り返し練習していくうちに、無意識が少しずつデータを蓄積してくれる。
意識して頑張って覚えようとするより、「私は無意識でこれを覚えている」と信じるだけで、学習のスピードが驚くほど変わります。
無意識はとても賢い存在です。
それを信じてあげることが、自分の力を最大限に引き出す第一歩。
もし「無意識をどう使えばいいのかわからない」という方がいたら、個別相談でもお話しできますので、気軽にご連絡くださいね。
今日のお話が、みなさんの日常の中での“学び方”や“マインドセット”のヒントになれば嬉しいです。