こんにちは、バランスライフコーチの岩下玲子です。
今日は、少し久しぶりに「学び」や「生き方論」についてお話ししたいと思います。
今回のテーマは、今私が学んでいる雅楽の中で語られていることのひとつについてです。
雅楽を始めてから、ちょうど1年ほどが経ちました。
取り組めば取り組むほど、「雅楽って本当にすごいなぁ」と感動することばかりで、
まだまだ奥深さを理解しきれていないのですが、触れるたびにその魅力を感じています。
「五常楽」とは何か
雅楽はクラシック音楽のように指揮者がいるわけではありません。
ではどうやって演奏を合わせるかと言うと、それぞれが周りをよく見て呼吸を合わせていくのです。
「この楽器のこの部分に合わせましょう」といったポイントはあるのですが、
それ以上に大切なのは相手を理解しようとすること。人のテンポを感じ取り、
お互いを意識して奏でていく。誰か一人の指揮に従うのではなく、みんなで調和をつくり出す…
ここに雅楽の素晴らしさがあると感じています。
そんな学びの中で、私が二曲目に習った「五常楽」と言う曲があります。
これはとても深い意味を持つ曲で、「五常とは何か」というところを先生から丁寧に教えていただきました。
この五常を理解し、日々の中で実践できていると、人間関係が自然と良くなっていくのだそうです。
例えば夫婦仲が穏やかになったり、親子関係が円満になったり…。
ちょうど今はお盆の時期で親戚が集まることも多いですよね。
人が集まると、どうしても問題が起きやすいのは「人間関係」ですが、
そのトラブルを減らすカギが、この五常の中にあると先生はおっしゃっています。
まさにこれは「生き方論」そのもの。自分の生き方が変わると、周囲との関係も変わっていく。
これは私が学んでいるNLPの中でも大切にされている考え方です。
「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ。
だから自分を変えれば結果が変わる」――まさにその通りだと思います。
では、何をどのように変えていけば良いのか。
どんな生き方をすればうまくいくのか。
そのヒントになるのが「五常」と言う5つの徳なのです。
帝王学とのつながり
実は私は「帝王学」も学んでいますが、そこでも生き方について触れられています。
帝王学の中では「五徳本能」と言う形で、同じ5つの徳について語られています。
ただし捉え方は少し異なっていて、雅楽で学ぶ視点とはまた違った学びがあります。
ですが、どちらも本当に大切なこと。
私は両方の視点を持っているからこそ、その素晴らしさを実感できているのだと思い、学びを深めています。
雅楽の「五常楽」と言う曲は、人間関係や生き方の基本を示す「五常」を歌にしたものなのだそうです。
実は、この五常を実践することが、人生をより良く生きる大きなヒントになるのです。
歴史を振り返ると、聖徳太子の時代には「冠位十二階」と言う位階制度がありました。
その位を決める際に基準となっていたのが、まさにこの五常をどれだけ実践しているかだったと言われています。
それほどまでに、五常――つまり「仁・義・礼・智・信」を大切に生きることは尊ばれてきたのですね。
では、この五常とはどんなものなのでしょうか。
五常の具体的な5つの徳
1. 仁(じん)
「仁」は、親しみ・慈しみ・思いやりの心を表しています。
もともとは天皇家の男性の名前にしか使われなかった字だそうで、これは国民を思いやり、
愛し、慈しむ心が込められているからだと言われています。
国民を思いやり、愛し、慈しむ心が込められているからだと言われています。
自分のことだけでなく、他人を思いやる心を持つこと――それが「仁」です。
2. 義(ぎ)
「義」は、人として筋道を通すこと。義理や人情の「義」です。
過去に助けてもらった相手が困っていたら手を差し伸べる、競争の中で不正をせず正々堂々と向き合う、
ズルをしない――こうした姿勢を大切にすることです。
忠義を尽くす、義理を果たすという言葉にもあるように、
「不正をせず、迷惑をかけず、人としての道を守る」ということを表しています。
3. 礼(れい)
三つ目は「礼」。感謝や挨拶、礼儀を尽くすことです。
「ありがとう」「おはよう」「ごめんなさい」などの言葉は礼の表れですよね。
ただ、私は「ごめんなさい」を多用するのは少し違うと感じています。
例えば、落とし物を拾って渡した時に「ごめんなさい」と返されると、悪いことをしたわけではないのに…と、
かえって申し訳なく感じることもありますよね。
それよりも「ありがとう」と言われた方が、心が温かくなると思うのです。
礼を尽くすとは、言葉や態度を通して相手を敬うこと。
挨拶をきちんとする、目上の方に敬意を払う、そうした一つ一つが人間関係を円滑にします。
4. 智(ち)
四つ目は「智」。知識や教養を身につけることです。
ここで大事なのは、学校の成績が良いかどうかではありません。
人生をより良く生きるための知恵や視野の広さ、社会の仕組みや物事を知っていることで人を助けられる力。
知識を増やし、それを正しく活用できる状態にしておくことが「智」なのです。
5. 信(しん)
最後は「信」。信じる心です。
他人を信じること、自分を信じること。誰かに物事をお願いする時も、
自分の能力を信じて取り組む時も、この「信」が根本にあります。
ただし、信じてもらうためには「嘘をつかないこと」が大前提です。
正直であるからこそ、信頼が広がっていくのですね。
五常を実践するとどうなるか
こうして見てみると、仁・義・礼・智・信の五常はすべて、人との関わりをより良くしていくためのものだと感じます。
思いやりを持ち、筋道を通し、礼を尽くし、知恵を身につけ、そして信じる。
これを実践していけば、人間関係は自然と良くなり、人生そのものがスムーズに流れていくのだと思います。
私自身も復習を兼ねて、こうして皆さまにお話しさせていただきました。
全部を一度に意識するのは難しいかもしれませんが、まずは一つで大丈夫です。
心に響いたものをひとつ選び、実践してみてください。
きっとそこから少しずつ、生活や人間関係が変わっていくのを感じられると思います。